針灸院ブログ

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アトピー性皮膚炎

・アトピー性皮膚炎は、再燃を繰り返す掻痒感を伴う湿疹病変を主体とする疾患です。症状は左右対称が多く慢性化する傾向があります。皮膚科での治療は皮膚症状に対してステロイド外用薬、プロトピック軟膏、保湿剤、抗アレルギー剤等が用いられます。アトピー性皮膚炎の患者さんでは顔面部にかゆみの強い方も多く、目のトラブルや緑内障、白内障を合併する可能性もあり、ステロイド外用薬による副作用も少なくありません。

・ステロイド外用薬の長期使用は、結局のところアトピー性皮膚炎を治癒させる効果は無く、「その場しのぎ」の治療です。使い続けることで皮膚が本来持つ感染からの防御性を始め、皮膚の健全性が損なわれる問題が表面化します。

・当院はアトピー性皮膚炎への鍼治療は15年以上・100名前後の実績があり、時間はかかるものの効果は分かり易い疾患です。特に繰り返し再燃している方は、じっくりと時間をかけて治療に取り組まれることをお勧めします。最初は週1回程、症状が改善・安定してからは隔週1回などと治療間隔を徐々に空け、完全に軽快した場合は終了した方もあります。(重症な場合には、週2回から始めることもあります) 完治までは至らない方で、長期に渡り継続される方の治療間隔は、概ね隔週1回~月1回となっています。

2020年02月11日

顔面神経麻痺

・顔面の片側に急性に発症する末梢性顔面神経麻痺の内、原因不明のベル麻痺が約7割を占め、ヘルペスウイルスなどが原因となるハント症候群も2割程あります。年齢や性別を問わず発症し、感染、過労、寒冷刺激等が誘因となり、症状としては額のしわ寄せ不良、兎眼(閉眼不能)、口が閉じず食べ物がこぼれる、口笛が吹けない等の症状を生じます。表情筋の障害以外に、舌の前2/3の味覚障害、聴覚過敏、涙分泌低下なども併発します。

・ベル麻痺は7割で自然回復しますが、13%で軽度の後遺症、16%で機能障害が残存するとされ、共同運動障害やワニの涙現象等が残る場合があります。鍼灸治療では発症から1か月以内に開始した場合には完治する可能性が高く、3ヶ月前後では軽微な後遺障害が残り、6ヶ月以降では感覚的な改善はあっても、外観の明らかな回復は難しくなるケースが多くなります。

・当院での末梢性顔面神経麻痺の鍼灸治療は15年以上、100名近くの実績があり、回復が順調で無い患者さんに対し、最大限の回復が得られる治療方法を確立していますので、耳鼻科で回復がやや悪いと診断されたら、速やかに針灸治療をご検討ください。

2019年09月23日

突発性難聴

・一側の耳に突然発症する原因不明の感音性難聴で、多くは耳鳴りや耳閉感を伴い、重症例ではめまいを伴う場合があります。耳鼻科ではステロイドの内服や点滴により治療しますが、治療開始が遅れた場合や重症例では聴力が回復しなかったり、耳鳴りなどの後遺症が残ることも多いので、早期に治療を開始することが大切です。

・突発性難聴は早期に針治療を開始することで、特に効果が得られ易い疾患です。千秋針灸院では重症例を除いて、発症後数日以内に針治療が開始できた場合には、ステロイドの点滴等をしなくても1回~数回の治療で完治します。聴覚器周辺の循環低下が要因となりますので、早期に問題が解決すれば素早い回復に繋がります。

・発症から時間が経過している場合には、聴力や症状の完全な回復は難しくなりますが、程度により残存する耳鳴り等が弱まる等の改善は得られますので、お早めにご相談下さい。

 

2019年09月03日

潰瘍性大腸炎

・原因不明で大腸粘膜に生じる慢性の炎症疾患で潰瘍を形成します。若年者に多く発症し、頻繁に繰り返す下痢や腹痛、下血、粘血便が主症状で、急性期には発熱、頻脈、体重も減少します。発症後10年以上が経過すると大腸・直腸ガンのリスクが高まるため、薬物治療を行いながら長期的な経過観察が大切になります。

・寛解期にサラゾピリンやペンタサ、アサコール等でコントロールされている方は、針灸治療を取り入れることで、腹痛の症状緩和や下痢を起こし難くなり、排便回数も減少しています。潰瘍性大腸炎では主に排便回数や粘血便などの変化に着目しており、針灸治療開始後は大きく改善する傾向です。ステロイドについては医師の指示による減量が必要です。

・潰瘍性大腸炎の軽症例では、完全に医学的な治療が不要となる治癒例(完全寛解)をはじめ、服薬が不要になったり症状が消失・軽減することが期待できます。ただし頻繁な下血を伴う重症例については潰瘍性大腸炎の活動期と考えられ、状況により針灸治療の適応が難しい症例があります。

2019年08月24日

クローン病

・原因不明に主に10~20代の若年者に発症する慢性炎症性肉芽腫性疾患です。病変は口腔から肛門までの腸管全域で発症し、全層性の潰瘍、炎症性ポリープ、肛門病変、口内炎など様々な病変が見られ、進行すると狭窄や腸閉塞症状を生じます。吸収不良症候群であるため高カロリー、高蛋白食がとられ入院安静が必要になります。一年内再発率70%、三年内再発率90%以上とされています。

・クローン病は30年以上に渡る私自身の持病であり、事実上治癒(完全緩解)した経験を基に適切なアドバイスが可能なことから、現在まで100名を超える患者さんを診療してきました。

・千秋針灸院には多くのクローン病の患者さんが来院されますが、じっくりと治療に取り組まれた比較的軽症の方では、治癒(完全寛解)するケースが半数程度にもなります。また就職や転居、結婚など生活環境が大きく変わる場合では、症状が良くも悪くも変化することを経験します。生活環境が変わることで腸内細菌叢が変わり、クローン病に影響することが考えられます。針灸治療やメンタルな部分でのクローン病との関わり方に加えて、腸内環境を良い方向に変えることで、これまで以上に完全寛解に近づくのではないかと期待しています。

2019年07月30日
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